ラストワンマイル物流革命に迫る

物流業界は大きく変革する

ラストワンマイルとは

ラストワンマイルとは、主に通信業界で使われている言葉で、直訳すると「最後の1マイル」になる。 最寄りの基地局から利用者の建物までを結ぶ、通信回線の最後の部分で物理的な長さではなく、通信事業者と利用者を結ぶ最後の区間という意味。2018年度の市場規模は前年度比13.7%増の1兆8300億円だった。

高止まりするトラック輸送の比率

物流市場のうち陸上輸送の分野では、トラックによる輸送量は各国の経済成長率に相関して推移している。直近の数年間は日本・欧州では横ばい、アメリカでは安定成長、中国では急成長になっている。トラック輸送は二酸化炭素排出量が増えるため、欧州や日本などでは他の輸送手段にモーダルシフトする動きが見られる。しかし、実際にはモーダルシフトが盛んなヨーロッパでさえ、物流市場全体に占めるトラック輸送の比率はほとんど変わらない。そして驚くべきことに「ラストワンマイル」の輸送を担う分野ではトラック輸送の比率は増えている。日本の宅急便の取扱い個数は年率3%程度のペースで継続的に成長している。

ドライバー不足の深刻化

こうした状況の中で、特に日本では物流企業のドライバー不足が深刻化している。事業者の総コストに占める人件費が50%以上を占める労働集約的な職場であり、他の産業に比べ低賃金、長時間労働となっている。これはバス、タクシーなどの運送業界と同じ構造だ。結果としてドライバーの高齢化が進んでいる。

新たな輸送システム

これらの課題を解決するため各国では物流向けの取り組みが進んでいるたとえば、ドローンや自動運転者を用いた配送の無人化サービス。特にAmazonが手掛けるドローンをラストワンマイル輸送に活用する手法はアメリカや中国を中心に実用化が検討されている。その他、ヒトを運ぶ運輸サービスと物流サービスを融合させる方向での検討が進んでいる。日本の過疎地で試行しているバスnに宅配用の荷物を混載する方法や、Uberなどのライドシェア事業者がインターネットでの販売した商品を各家庭まで届けるサービスが登場している。

物流サービスの課題

このような現状とあるべき姿のギャップを埋める課題は以下の3点だ。

幹線輸送

大型トラックのドライバー不足が深刻になっている。鉄道による輸送量は増加しているが、トラック輸送の代替できるほどの供給能力はない。そのため自動運転技術を使った隊列走行や完全自動化が期待される。

物流ターミナル

幹線輸送量の増加に伴う特定時間への負荷集中や物流ターミナル内の荷役業務における人手不足の深刻化がある。加えてターミナル内での待ち時間の発生によるドライバーの拘束時間の長期化もある。解決策としてロボティクス技術の活用による物流ターミナル内の荷役業務の負荷軽減や自動化の期待が高まる。また、トラックの低速自動運転化によるドライバーの拘束時間削減、高速道路での自動運転もユースケースとして想定される。

ラストワンマイルでの対応

ラストワンマイルの課題には再配達率の上昇による非効率化の解消があり、今後は一戸建て住宅への宅配ボックス設置や配送費の値上げなどによる現実的な解決策の導入が求められる。配送車~ユーザーの自宅まで荷物を届ける部分の自動化は、都市部などの人口密集地では特に難しい。UberがWalmartのインターネット販売の配送代行を請け負うなど、ライドシェアサービスが「人貨混載」の形で物流にまで広がる可能性が高い。またAmazonやDaimlerがはじめているドローンを活用した配送も物流サービスの品質への期待値が低い地域においては実用化されていくことだろう。このように物流業界もラストワンマイルをキーワードに変革が起こると思われる。

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青山 武史

略歴

1977年生まれ。1998年にJ-Groupホールディングスに入社以来、ブランドマネージャーとしてマザーズ上場に貢献後、観光業界を中心に事業再生、戦略立案、M&A戦略立案、ビジネスデューデリジェンス、新規事業開発、組織変革等の業務に従事。2012年よりJBR事業部長に就任し、マーケティング部門を統括。2018年よりエイチームにてPMとして新規事業の立ち上げに携わる。。不動産、生活関連、物流業界でインターネットを軸にビジネス開発を行った経験をもとにモビリティ革命を推進する活動に邁進する。企業への戦略コンサルティング実績多数。

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