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トレンドを「点」で追うな。事業構想に必要な「3つの力」

AI、DX、GX、Web3…。次々と現れるビジネストレンドやバズワードに、振り回されてはいないだろうか。多くの企業が、これらのトレンド=点を追いかけるモグラ叩きのような状態に陥っている。しかし、真のイノベーションは、単なる点の模倣からは生まれない。本連載では、GREATS独自の調査レポートに基づき、大きな変化のうねりを読み解き、未来の事業機会を構想するための視点を提示する。


あなたの会社は「バズワード疲れ」していないか?

企業の企画会議で、また新しい言葉が飛び交っていないだろうか。 生成AIで何かやれ。DXの次はGXだ。Web3も忘れるな。

経営層やメディアから次々と発信される新しいトレンド。現場は、その対応に追われ、まるでモグラ叩きのように目の前のバズワードを処理し続ける。これが多くの企業の現実かもしれません。

しかし、断言できます。イノベーションは「点」からは生まれません。 生成AIという技術、つまり点だけを見ていても、なぜそれが社会を変えるのか、自社のビジネスとどう結びつくのか、その本質は見えてこないのです。


なぜ「点」を追うだけではダメなのか?

それは、**変化の「関係性」**を見失うからです。

個々のトレンドは独立して存在しているわけではありません。互いに影響しあい、より大きな変化のうねりを生み出しています。 GREATSでは、ビジネスシフトを促す個々のトレンドの集合体をメガトレンドと呼んでいます。

例えば、電気自動車というトレンドは、次世代電池という技術トレンドや、脱炭素という社会トレンドと密接に関係しています。この関係性、つまり面で捉えなければ、自社が取るべき戦略は見えてきません。


GREATSの視点:事業構想のための「3つの力」

私たちGREATSは、独自のリサーチに基づき、この複雑な変化のうねりを、新規事業を構想するために3つの力に分類・整理しました。

それが、T=Technology(技術)B=Business(ビジネス)、**D=Design(デザイン)**です。

真のイノベーションは、このT、B、Dの3つの力が交差する場所で生まれます。 これは一体どういうことでしょうか。


B×D×Tとは何か?

GREATSの独自調査レポートでは、世界で起きている無数のメガトレンドを、その発生要因によって以下の「3つの力」に分類しています。

T (Technology) =「1:技術進展」

これは最も分かりやすい力です。 AI、ゲノム編集、次世代素材、量子コンピューターなど、純粋な技術革新が起点となるトレンド群です。 Tは、私たちに何が可能になるかという未来の選択肢を示してくれます。

B (Business) =「2:新しい仕組み」

シェアリングエコノミー、D2C、サブスクリプションなどがこれに当たります。 これらはすべて、どう儲けるかどう顧客に価値を届けるかという新しいビジネスモデルそのものです。 Bは、既存の産業ルールや勝ち方を変える力です。

D (Design) =「3:政策や社会的価値観の変化」

これがGREATSの視点の核となります。 脱炭素、資源循環、多様性の尊重といった、規制や人々の倫理観の変化が起点となるトレンド群です。

なぜD=Designなのでしょうか。 Designとは、本来あるべき姿を構想し、設計することです。 脱炭素や資源循環は、持続可能な社会をどう再デザインするかという問いそのものです。多様性の尊重は、人々がより良く生きられる社会規範をどう再デザインするかという倫理的な問いです。 Dは、なぜその事業を行うのかという大義や、社会からの受容性を決める力なのです。


3つの力が交差する場所

イノベーションは、この3つの力が交わって初めて生まれます。 T=技術だけがあっても、B=ビジネスモデルがなければ社会に普及しません。 TとBだけを追求しても、D=社会的な大義や受容性がなければ、いずれ社会から拒絶されます。

本連載では、このGREATS独自のB×D×Tという地図を手に、複雑なメガトレンドを読み解いていきます。 次回は、この3つの力のうち、T=技術とB=ビジネスモデルについて、さらに深掘りします。

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