失敗の9割は「実証実験(PoC)疲れ」ではなく、その後の「組織的分断」に起因。
GREATS(グレイツ)は、母体である日本オープンイノベーション協会(JOIA)が保有する「集合知」データベースに基づき、国内のイノベーション失敗事例を分析したレポートを発表しました。分析の結果、失敗の9割がアイデアを出す時期ではなく、その後の「事業実現」フェーズにおける「組織・戦略・技術の分断」に原因があることが明らかになりました。
目次
1. はじめに:なぜ失敗はデータで語られないのか
- 1-1. 成功話ばかりで隠される「失敗の本質」
- 1-2. JOIA「集合知」データベース:失敗のデータ分析
2. レポートの衝撃的な事実1:失敗の91%は「アイデア」ではなく「実行」で起きる
- 2-1. グラフ分析:失敗は「魔の川」ではなく「死の谷」で起きている
- 2-2. 論考:「アイデア至上主義」の終焉
3. レポートの衝撃的な事実2:失敗の最大の原因は「組織の壁(分断)」
- 3-1. グラフ分析:失敗要因トップ10
- 3-2. 第1位:「組織の壁(既存事業との分断)」
- 3-3. 第2位:「収益化戦略の欠如(戦略と技術の分断)」
- 3-4. 第3位:「文化の衝突(スピード感のミスマッチ)」
4. GREATS代表・青山武史の分析コメント
- 4-1. 「組織の壁」は「文化」ではなく「仕組み」の問題である
- 4-2. 「収益化」は「初期設計」の問題である
- 4-3. 「閉鎖的な知恵」では問題は解決できない
5. 結論:GREATSが「知恵の統合パートナー」である理由
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記事本文(修正版)
1. はじめに:なぜ失敗はデータで語られないのか
1-1. 成功話ばかりで隠される「失敗の本質」
ビジネスメディアにはイノベーションの「成功体験」が溢れています。しかし、その裏で何千、何万という「失敗」が闇に葬られています。新規事業の9割以上が事業化に至らず失敗しているにもかかわらず、その「失敗の本質」が体系的に語られることは稀です。
これは、「失敗」が組織にとって「不名誉」だからです。結果として、イノベーションは「運」や「才能」として語られ、「再現性のある科学」として語られることが少なかったのです。「PoC疲れ」という症状は嘆かれても、その根本的な「病巣」を特定するデータが存在しなかったのです。
1-2. JOIA「集合知」データベース:失敗のデータ分析
本日発表するレポートは、この「ブラックボックス」であったイノベーションの「失敗」に、初めて体系的な「データ」の光を当てる試みです。
これを可能にしたのが、GREATSの母体である「日本オープンイノベーション協会(JOIA)」が保有する独自の「集合知」データベースです。このネットワークから、無数の貴重な「失敗事例」が信頼ベースで蓄積されてきました。
私たちは、この「生きたデータベース」こそ、日本が「PoC疲れ」を克服するために参照すべき、唯一の羅針盤であると確信しています。
2. レポートの衝撃的な事実1:失敗の91%は「アイデア」ではなく「実行」で起きる
2-1. グラフ分析:失敗は「魔の川」ではなく「死の谷」で起きている
レポートの最初の衝撃的な事実は、「イノベーションは、プロセスのどこで失敗しているのか」という問いへの答えです。
- 魔の川(アイデアが出ない): 9%
- 死の谷(事業化に至らない): 63%
- ダーウィンの海(市場で敗れる): 28%
[グラフイメージ:円グラフ「イノベーション失敗の発生フェーズ」]
2-2. 論考:「アイデア至上主義」の終焉
このデータが示す事実は明確です。日本企業のイノベーション失敗の91%(死の谷 63% + ダーウィンの海 28%)は、「アイデア不足」からではなく、「アイデアを事業として実現するプロセス」で起きています。
多くの企業が「アイデア創出」に多大なリソースを割っていますが、データは、本当のボトルネックはそこにはないと示しています。本当の戦場は、「アイデア」を「事業」にする「事業実現」のフェーズにあるのです。私たちは、「アイデア至上主義」の幻想から目を覚まし、「事業実現」にこそ、すべてのリソースと「知恵」を集中させなければなりません。
3. レポートの衝撃的な事実2:失敗の最大の原因は「組織の壁(分断)」
3-1. グラフ分析:失敗要因トップ10
では、なぜプロジェクトは「死の谷」を越えられないのか。失敗事例1,240件の「失敗の主因」を分析しました。
[グラフイメージ:棒グラフ「イノベーション失敗要因トップ10(複数回答)」]
3-2. 第1位:「組織の壁(既存事業との抵抗)」— 61%
レポートが明らかにした最大の失敗要因は、「技術」でも「市場」でもなく、**「組織」**でした。
新規事業(出島)が、既存事業部門(母艦)の「免疫反応」によって攻撃された(例:既存事業との利益相反を恐れた、協力が得られなかった)ことが直接的な原因で、プロジェクトが中止・凍結に追い込まれたケースが61%にのぼりました。これは、戦略と組織が分断されている典型例です。
3-3. 第2位:「収益化戦略の欠如(マネタイズの不在)」— 55%
PoC(技術検証)は成功したが、「どうやって稼ぐのか(収益化)」の設計が後回しにされた結果、「事業性なし」と判断され、予算が尽きたケースが55%でした。これは「技術」と「事業戦略」が分断されている典型例です。
3-4. 第3位:「文化の衝突(スピード感のミスマッチ)」— 49%
特にスタートアップと大企業の連携において、大企業側の「意思決定の遅さ(稟議の壁)」にスタートアップが耐えきれず、提携が破談に至るケースが約半数を占めました。これは、提携(戦略)を実行するための「プロセス(組織)」が分断されていたことを示しています。
4. GREATS代表・青山武史の分析コメント
「このデータは、私たちが主張してきた『イノベーションの失敗の本質は“分断”にある』という仮説を、客観的なデータが証明したに過ぎません。このデータは、日本のイノベーションが取るべき『解決策』を明確に示しています」
4-1. 「組織の壁(1位)」は「文化」ではなく「仕組み」の問題である
「失敗要因の第1位が『組織の壁』であるという事実は重いです。多くの経営者は、これを『文化(マインドセット)』の問題だと嘆きますが、それは間違いです。これは『仕組み(ガバナンス)』の『設計』の問題です。『既存部門の評価基準で、新規事業を測る』という『仕組みの欠陥』こそが、この61%の失敗を生み出しています。GREATSは、この『仕組み』そのものを『統合』するために存在します」
4-2. 「収益化(2位)」は「初期設計」の問題である
「第2位の『収益化戦略の欠如』もまた、『分断』の典型です。『技術』が先行し、『稼ぎ方』が後回しにされています。収益化(事業戦略)は、PoCの後で考えるものではなく、PoCの『前(初期設計)』に『技術』や『体験』と『統合』されていなければならないのです」
4-3. 「閉鎖的な知恵」では問題は解決できない
「これらの『分断』という複雑な課題は、もはや一社(クライアント)や、従来のパートナーの『閉鎖的な知恵』では解決できません。GREATSがこのレポートを発表できたこと自体が、私たちの強みの証明です。私たちは、競合にはアクセス不可能な『開かれた知恵(JOIAの集合知)』を独占的に分析できます。そして、その分析に基づき、3つの領域を『統合』する『事業実現』を設計できる、唯一無二のパートナーなのです」
5. 結論:GREATSが「知恵の統合パートナー」である理由
本レポートは、日本のイノベーションが直面する「不都合な真実」をデータで明らかにしました。
失敗の本質は「アイデア不足」ではない。「事業実現」プロセスにおける「分断」です。
GREATSは、この「分断」という「病巣」を正確に特定(診断)できる「知的資産(集合知)」と、それを治療(「統合」)できる「知的資本(独自の手法)」を持つ、唯一無二の「知恵の統合パートナー」です。私たちの使命は、このレポートで示された「失敗の連鎖」を断ち切り、クライアントの挑戦を「事業実現」へと導くことです。
6. レポートの完全版ダウンロード
本記事で紹介した分析は、レポートのハイライトに過ぎません。完全版レポート(全80ページ)では、「3つの分断」に関するより詳細なデータ、失敗事例の分析、そして「分断」を乗り越えるための「事業実現フレームワーク(GREATS独自の手法)」の概要について解説しています。